MFC編 目次

 MFC全般

 

・MFCの開発環境をそろえよう
・MFCをスタティックリンクしたときに出るエラー
・関数追加時に出るエラー
・Windows XPスタイルの外観にする

 文字列操作

 

・CStringの基本1 文字列の連結と追加
・ATL/MFC共有版のCStringについて
・CStringと三項演算子の問題

 DDX/DDV

 

・DDXの基本1
・DDXの基本2
・DDX変数に複数コントロールを割り当てる
・DDX変数を配列にする

 ダイアログ

 

・ダイアログの色変更

 ボタン

 

・ボタンの基本

 チェックボックス

 

・チェックボックスの基本
・プッシュボタンのようなチェックボックス
・チェックボックスの色変更

 エディットボックス

 

・エディットボックスの基本
・エディットボックスの色変更

 コンボボックス

 

・コンボボックスの基本
・コンボボックスに初期データを入れる
・コンボボックスの色変更
・拡張コンボボックス

 リストボックス

 

・リストボックスの基本
・リストボックスの色変更
・チェックリストボックスを作る

 ラジオボタン

 

・ラジオボタンの基本
・ラジオボタンの色変更

 スタティックテキスト

 

・スタティックテキストの内容を動的に変更する
・スタティックテキストに複数行入力する
・スタティックテキストの文字色変更

 リストコントロール

 

・リストコントロールの基本1
・リストコントロールの基本2
・リストコントロールの一行全体を選択する
・リストコントロールを単一行選択にする
・フォーカスが移ったときも選択状態を維持する
・アイテムにユーザデータを付加する
・アイテムにアイコンをつける
・アイテムに状態イメージをつける
・ヘッダ項目にアイコンをつける

 ツリーコントロール

 

・ツリーコントロールの基本

 タブコントロール

 

・タブコントロールの基本1
・タブコントロールの基本2
・タブコントロールをXPスタイルにする

 スライダコントロール

 

・スライダコントロールの基本1
・スライダコントロールの基本2

 スピンコントロール

 

・スピンコントロールの基本

 プログレスバー

 

・プログレスバーの基本

 日時指定コントロール

 

・日時指定コントロールの基本

 月間予定表コントロール

 

・月間予定表コントロールの基本
・月間予定表のプロパティと色変更

 IPアドレスコントロール

 

・IPアドレスコントロールの基本
・IPアドレスコントロールの操作

 ピクチャーコントロール

 

・ピクチャーコントロールの基本

 アニメーションコントロール

 

・アニメーションコントロールの基本

 時刻管理

 

・CTimeとCTimeSpan
・CTimeの引数について

 メニュー

 

・ダイアログにメニューをつける
・ダイアログにポップアップメニューをつける

 ステータスバー

 

・ダイアログにステータスバーをつける
・ステータスバーに文字列を表示する

 プロパティシート

 

・プロパティシートの基本1
・プロパティシートの基本2

 コモンダイアログ

 

・ファイル選択ダイアログ
・フォント選択ダイアログ
・色選択ダイアログ

 ファイル入出力

 

・ファイル入出力の基本
・テキストファイルの入出力
・ファイルの検索、列挙1
・ファイルの検索、列挙2

 ネットワーク

 

・MFCソケット通信の基本 (クライアント編)
・MFCソケット通信の基本 (サーバ編)
・MFC非同期ソケット (クライアント編1)
・MFC非同期ソケット (クライアント編2)
・MFC非同期ソケット(サーバ編1)
・MFC非同期ソケット(サーバ編2)

 デバイスコンテキスト

 

・デバイスコンテキストの基本
・文字列の描画
・ペンを使った描画
・ブラシを使った描画1
・ブラシを使った描画2

 FTPクライアント

 

・FTPクライアントを作る1
・FTPクライアントを作る2
・FTPクライアントを作る3
・FTPクライアントを作る4
・FTPクライアントを作る5

 ドキュメント・ビュー

 

・ドキュメント・ビューの基本
・エディットビューの基本
・リストビューの基本
・ツリービューの基本
・フォームビューの基本

 ダイアログバー

 

・ダイアログバーの基本
・ダイアログにダイアログバーをつける

 

 

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ドキュメント・ビューの基本

 MFCを使ってWindowsアプリケーションを作成する場合、アプリケーションウィザードでは次の3種類のスケルトンを作成することができます。

・ダイアログベース
・シングルドキュメント
・マルチドキュメント

 ダイアログベースアプリは、基本的には1つのダイアログリソースを元に作成します。ダイアログにボタンやエディットボックスなどのコントロールを配置して、イベントハンドラなどを使って機能を実装していきます。簡単なアプリであればこれで十分作れます。

 これに対して、シングルドキュメントインターフェース(SDI)とマルチドキュメントインターフェース(MDI)は、いわゆるウィンドウがベースのアプリを作るのに適しています。例としてはテキストエディタなどですね。ファイルを開いたり新規作成したりすると、子ウィンドウが開いて、その中で文書を表示したり編集したりします。子ウィンドウ1つが1つの文書に対応しているわけです。この子ウィンドウが1つのみのものがSDI、複数の子ウィンドウを同時に開けるものがMDIです。

 SDI、MDIはダイアログベースのアプリに比べると、かなり特殊な構造を持っています。それがドキュメント・ビュー・アーキテクチャというものです。なにやら難しそうですが、基本的な考え方としては、文書(ドキュメント)と見た目(ビュー)を切り離して、別々のクラスで管理しようというものです。こうすることによって、ドキュメントクラスはデータの管理を、ビュークラスは表示部分の処理に専念できるので、プログラム構造がすっきりするわけです。

 ドキュメントとビューの関係ではもう一つ特徴的なことがあります。それは1つのドキュメントに対して、ビューは複数存在することがあるということです。例えば、ある数値データがあるとします。これがドキュメントです。このデータを表示する場合、1つのウィンドウでは生データでそのまま表示して、別のウィンドウではグラフ化して表示するとします。こうすると、1つのドキュメントに対してビューは2つ存在することになります。データ自体は1つでも、その表現方法はいくつもあるということですね。

 逆に1つのビューに対してドキュメントは1つだけです。ドキュメントとビューは1対多の関係になっているわけです。とは言っても単純な構造のアプリであればドキュメントとビューは1対1になることが多いです。

 では、もう少し具体的な構造の話に移っていきましょう。ドキュメント・ビュー・アーキテクチャでは、

・ドキュメント
・ビュー
・フレームウィンドウ

の3つのクラスが1セットになっています。ドキュメントはCDocumentクラスの派生クラス、ビューはCViewクラスの派生クラスからの派生クラス、もしくはCViewクラスからの直接の派生クラスになります。CViewはCWndの派生クラスです。つまりビューはウィンドウです。

 もう1つのフレームウィンドウというのは、CFrameWndクラスの派生クラスになります。CFrameWndもCWndの派生クラスなので、これもウィンドウです。これは何かというと、子ウィンドウの外枠の部分になります。実はビューというのはフレームウィンドウのクライアント領域全体に位置しているウィンドウで、ウィンドウの外枠や最大化、最小化ボタンなどはフレームウィンドウのものです。フレームウィンドウとビューで2重構造になっているわけですね。少し上で複数ビューについて触れましたが、例えばウィンドウを分割して複数のビューを表示する場合は、1つのフレームウィンドウ上に複数のビューが分割されて配置されることになるわけです。

 さて、ビューはCViewクラスを派生させて作るわけですが、CViewクラスはビューの基本機能を持っているだけです。これを派生させて表示してみると、中身が何もない真っ白なウィンドウが表示されます。GDIを使って自分ですべての描画処理を記述したい場合はこれでもいいですが、MFCにはあらかじめいろいろなCViewの派生クラスが用意されています。クラス名だけ列挙すると、CCtrlView、CEditView、CRichEditView、CListView、CTreeView、CScrollView、CFormView、CHtmlView、CRecordView、CDaoRecordView、COleDBRecordViewといったものです。目的にあうものがあればそこから派生させたほうがいいでしょう。特にダイアログのようにウィンドウの中にコントロールを配置したい場合は、CFormViewクラスを使います。これらの1つ1つの詳細については、また別の章で解説したいと思います。

 そして、この3つのクラスを結びつけるものが「ドキュメントテンプレート」というクラスです。SDIの場合はCSingleDocTemplate、MDIの場合はCMultiDocTemplateというクラスを使います。これは最初に登録するだけで、さらにその登録部分はウィザードが作ってくれるので、このクラスについてはとりあえず忘れていても問題ないでしょう。実際に自分でコードを書いていくのは、上に挙げた3つのクラス(の派生クラス)です。

 では、実際にSDIベースでプロジェクトを作成してみましょう。アプリケーションウィザードで「アプリケーションの種類」に「シングルドキュメント」を指定します。

 では、出来上がったプロジェクトのクラス構成を確認しておきましょう。今回はSdiという名前でプロジェクトを作成しました。クラスビューを見ると、

・CAboutDlg(CDialogの派生クラス)
・CMainFrame(CFrameWndの派生クラス)
・CSdiApp(CWinAppの派生クラス)
・CSdiDoc(CDocumentの派生クラス)
・CSdiView(CViewの派生クラス)

 の5つが作成されています。CAboutDlgとCWinAppの派生クラスはダイアログベースアプリでもおなじみのものですね。SDIだとそのほかに上で述べたドキュメント、ビュー、フレームウィンドウの3つのクラスが追加されているのがわかります。

 では、そのままビルドして実行してみましょう。

 真っ白なウィンドウが表示されました。何もないように見えますが、ちゃんと作成されたフレームウィンドウとビューが表示されています。ステータスバーやツールバー、メニューなども最初から用意されています。これがSDIアプリの原型です。

 それでは、CSdiAppクラスのInitInstance()関数を見てみましょう。不要なコメント部分は削除しています。

BOOL CSdiApp::InitInstance()
{
    INITCOMMONCONTROLSEX InitCtrls;
    InitCtrls.dwSize = sizeof(InitCtrls);
    
    InitCtrls.dwICC = ICC_WIN95_CLASSES;
    InitCommonControlsEx(&InitCtrls);
    
    CWinApp::InitInstance();
    
    SetRegistryKey(_T("アプリケーション ウィザードで生成されたローカル アプリケーション"));
    LoadStdProfileSettings(4);
    
    // アプリケーション用のドキュメント テンプレートを登録します。ドキュメント テンプレート
    //  はドキュメント、フレーム ウィンドウとビューを結合するために機能します。
    CSingleDocTemplate* pDocTemplate;
    pDocTemplate = new CSingleDocTemplate(
        IDR_MAINFRAME,
        RUNTIME_CLASS(CSdiDoc),
        RUNTIME_CLASS(CMainFrame),       // メイン SDI フレーム ウィンドウ
        RUNTIME_CLASS(CSdiView));
    
    if (!pDocTemplate)
        return FALSE;
    AddDocTemplate(pDocTemplate);
    
    CCommandLineInfo cmdInfo;
    ParseCommandLine(cmdInfo);
    
    if (!ProcessShellCommand(cmdInfo))
        return FALSE;
    
    m_pMainWnd->ShowWindow(SW_SHOW);
    m_pMainWnd->UpdateWindow();

    return TRUE;
}

 ここでCSingleDocTemplateクラスのオブジェクトを作成しています。CSingleDocTemplateのコンストラクタでCSdiDoc、CMainFrame、CSdiViewの3つのクラスを結び付けているのがわかりますね。そしてWinApp::AddDocTemplate()関数でドキュメントテンプレートを登録しているのがわかります。